整形外科の器械出しでのポイント

 皆さんは看護師と聞くと、どの様な仕事を思い浮かべますか?多くの人が病棟や、町のクリニックで働く看護師を思い浮かべると思います。でも実は、非常に少数派ではありますがオペ室に勤務する看護師もいて、オペ看、オペナースなんて呼ばれ方をしています。オペ室の看護師は人数も少ない為、あまりメジャーではありません。大学や専門学校で学ぶ事も殆どなく、調べたくても本やサイトに載っている情報は少ないので、オペ室に興味があったり、オペ室に入りたい!と思っている方は、情報の少なさに残念な思いをする事があるかと思います。ですので、その残念な思いを解消する為に、現役でオペ室に勤務している看護師としてオペ室看護師の情報について発信していきたいと思います。

 今回の記事では、整形外科での器械出しのポイントについて詳しくお話ししていきます。

1.整形外科での手術とは

整形外科の手術と聞くと皆さんは、どの様な手術を思い浮かべますか?漠然と骨折の手術かなと言うイメージでしょうか。ズバリ、整形外科では、骨、軟骨、筋、靭帯、神経などの運動器官を構成する組織の手術を行っています。よく名前が似ている形成外科と勘違いされる方がいらっしゃいますが、形成外科では体表の機能的や審美的な疾患を取り扱いますので内容は全く異なります。

①主な疾患

  手術室でよく担当する疾患としては下記があるため器械出しを行う際は、病態生理と解剖生理も合わせて勉強すると手術についても深くまで学ぶ事が出来き、結果としてスムーズな器械出しができる様になるかと思います。

腱鞘腱鞘炎
中手骨中手骨骨折
橈骨橈骨遠位端骨折
尺骨尺骨骨幹部骨折
上腕上腕骨近位端骨折
大腿骨大腿骨頸部骨折
変形性膝関節症
腓骨腓骨骨折
脊椎脊椎圧迫骨折
四肢壊死

②整形外科の術式

  整形外科の手術では基本的に骨折を治療する手術が多いです。新人さんは腱鞘切開術を除いた場合、基本的には観血的整復固定術(ORIF)の器械出しから初めていくと思います。観血的整復固定術は、手術で観血的整復と内固定を同時に行う手術で、内固定の方法としては大まかに分けると主にピンニングとプレート固定、髄内釘固定の3つに分けられます。

 手術室でよく担当する手術としては下記があるため、器械出しを行う際は手順をよく調べて復習してから望むと良いでしょう。

腱鞘腱鞘切開術
中手骨観血的整復固定術(ORIF)
橈骨橈骨骨折整復術
尺骨尺骨骨折整復術
上腕上腕骨髄内釘
大腿骨人工骨頭置換術(BAH)
人工膝関節手術(TKA、TKR)
腓骨脛骨骨折整復手術(プレート固定)
脊椎椎体形成術(BKP)
四肢四肢切断(アンプタ)

⚠︎観血的整復固定術(ORIF)は、骨を固定する骨折の手術全般の名称で、麻酔後に皮膚切開し、骨折部の整復を行いピンやワイヤー、スクリュー、プレートなどを用いて皮下で骨を直接固定する手術の事を示しています。その為、中手骨の手術だけでなく他の部位でもピンやワイヤー、スクリュー、プレートなどを用いる場合はORIFと呼ばれる事があります。

2.整形外科における感染対策

 どの手術でも清潔と不潔を徹底的に区別し感染対策に努める必要がありますが、整形外科の手術ではより一層レベルの高い清潔が求められます。なぜなら、骨や関節組織は無菌状態ですが骨組織は食細胞が少なく感染防御機能が弱い為、感染状態になりやすいからです。またインプラントを挿入すると僅かな菌でも感染を引く起こす可能性が高まり、感染を引き起こした場合はインプラント除去のために再度手術となり感染部位にも影響を及ぼす事で、機能障害へと繋がる可能性もあります。その為、感染症を引き起こさない為に手洗いの徹底、清潔ガウンを着用した状態での不潔行動の排除、使用器械の滅菌状態の確認・維持、術中時の器械台の清潔維持、など徹底した感染対策を行う必要があります。インプラントを挿入する手術では、特に清潔に配慮しなくてはなりませんので、手術によってはフライトフードと言うヘルメット型のガウンを装着する事もあります。このフライトフードを装着する際も不潔にならない様に注意しましょう。初めてでは自分に合うフードの位置が分からないと思いますので、手術までにフード着用の練習もしておくと良いでしょう。私は手術本番で、初めて着用し失敗してしまい手洗いをやり直した苦い記憶があります。器械出し看護師が再度手洗いとなると手術開始を遅らせてしまう事もある為、私の失敗を参考にしてもらえたらと思います。

みにぶた
みにぶた

インプラントを業者から受け取る際は、不潔にならない様にコッヘルなどで受け取ります。その際に落下防止の為に空いてる手を下に添えるのですが、不潔な物に当たらない様に注意しましょう。最悪当たってしまった場合は、手袋を交換する等して対応して下さい。

3.業者器械(貸し出し器械)

整形外科では部位によって様々な器械やインプラントを使用するため、業者器械(貸し出し器械)を使用する事が多いです。業者器械は各業者の会社によって特性があり、最初は何をどの様に使用するかも分からないと思いますので注意が必要です。使用器械が分からない場合は準備すらも出来ないので、先輩や担当の業者さんに質問して問題を解決しましょう。業者器械は借り物ですので手術の前日に器械が持ち込まれて、器械の種類、故障や破損の有無、点数の確認を行い、手術室で滅菌となります。この際、自分が担当する手術の器械を確認出来る時間があれば、内容を把握する為に自分で確認しておくと良いでしょう。もし初めての器械で確認出来なかった場合は、何が入っているかが分からず、当日に何を使用すれば良いかも分からなくなり困ってしまうかと思います。ですので、業者器械には確認の為に器械内容が書いた表があると思いますので、それで確認して中身を把握しておくと良いでしょう。業者器械のカウントを行う際は、点数で確認する事が多いのですが2つセットで1点とカウントする物もあるので注意して下さい。

みにぶた
みにぶた

整形外科では業者器械を使用することが多いので、業者さんとのコミュニケーションも大切になってきます。業者さんとの連携が上手くいかないと、手術の妨げになってしまう可能性もあるので円滑なコミュニケーションを取れる様に頑張りましょう。

4.工具類の取り扱いを知る

整形外科の手術では骨を操作する手術が多く、その操作にはドリルやリーマー、ボーンソー(のこぎり)などの先端が尖った物や刃物を使用します。これらは硬い骨を操作するための器械ですので、鋭利でありパワーも非常に強いため作動した状態で先端に触れてしまうと、大怪我に繋がり危険ですので取り扱いには注意して下さい。これらの器械は動作確認後に医者に渡す事になります。動作を確認する際、特にドリルやリーマーなどの先端が長い物は当たってしまう可能性が高いため、人がいない方向に向けて動作を確認して下さい。また、動作確認の前には外れて飛んでいかない様にしっかりと固定されているかを確認して下さい。先輩から聞いた話ですが、ドリルの先がしっかりと固定されていない状態で作動確認をし、ドリル先がパワーから外れて飛んで行った事例があったそうです。業者器械の中には、1つしか用意されていない物もあり、それが不潔になると再滅菌となり結果手術時間に影響を及ぼす事になりますので注意しましょう。

みにぶた
みにぶた

整形外科の器械は、先が鋭利でパワーが強い物が多いので怪我をしない様に注意しましょう。

また万が一に怪我をしてしまった場合は、不潔になりますので隠さずにすぐに伝える様にしましょう。

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