①胆のう摘出術とは
胆のう結石、胆のうポリープ、胆のう炎、胆のう腺筋症などの疾患に対する治療法の1つです。手術大まかな流れとしては下記の通りです。
②胆のうとは
胆のうが胆汁を作っていると思っている方はいませんか?実は看護師としてお恥ずかしい話ですが、私はプリセプターから胆のうの役割を質問された時に、胆汁を作っていると答えて苦い顔をされた経験があります。
1.胆のうの役割
胆のうは肝臓で作られた胆汁を貯え、濃縮する役割を担っています。胆汁は脂肪を水に溶けやすくする働きがあり、十二指腸に食物が流れてきた際、胆汁を十二指腸に排出し脂肪を分解、小腸で吸収出来る様に働きかけています。
2.胆汁の成分
胆汁は酸塩、胆汁色素、コレステロール、ビリルビンからなり緑がかった黄色で粘性のある消化液です。胆汁は消化液で不潔扱いとなりますので、手術中は接触しない様に注意しましょう。
胆のうに胆汁が溜まっており破損の可能性がある場合、穿刺して胆汁を出す事があります。その際、医師が針やシリンジを清潔な器械台に返すと思いますので胆汁に接触しない様に気をつけましょう。
③適応となる疾患
胆のう摘出術が適応となる疾患としては、胆のう結石、胆のうポリープ、胆のう炎、胆のう腺筋症などの良性胆のう疾患があります。特に、急性胆のう炎は非常に重篤となりやすい為、早期の手術が推奨されています。
④手術の流れ
①胆のう切除時の麻酔
基本的には全身麻酔が選択されるかと思います。硬膜外麻酔も加えて手術を行った例も聞いた事がありますが、術後の創痛は内服薬でコントロール可能な事が多いため全身麻酔のみでの手術が基本となるかと思います。
②手術時の体位
腹部の手術となりますので仰臥位が選択されるかと思います。腹部臓器を左下に下げて、右上腹部の胆のう周辺の操作が行いやすい様、頭高位で左回転にベッドをローテーションする事が多いので、体がしっかりとベッドに固定できているかよく確認して下さい。手術中の体位は基本は同じ様な体位をとりますが、執刀する先生の好みもありますので確認するのが良いかと思います。
③手術時間
手術時間は、患者さんの体格や手術歴、癒着の程度等に影響されますが、開腹手術で1時間〜1時間30分、腹腔鏡で1時間30分〜2時間を予定しているかと思います。
④手術の手順
①胆のう漿膜の切離
②カロー三角の剥離
③胆のう管、胆のう動脈の処理
④胆嚢床の切離
⑤洗浄
⑥標本摘出
⑤手術の注意点
①総胆管や右胆管、門脈や右肝動脈を切らない。
②肝臓から出血させない。
手術を行うのは医師ですが、手術の注意点を知っておく事でいざと言う時に対応できる様になりますので、覚えておくと良いでしょう。
⑥観察ポイント
①気腹による皮下気腫
②ドレーン留置時の排液性状(出血、胆汁漏)
私は一度だけ胆のう動脈がしっかりクリップ出来ておらずドレーンから大量に出血し、緊急再開腹を経験した事があります。あの時、異常にすぐに気付かなかった場合、どうなっていたのだろうと思うと今でもゾッとします。