乳房切除術について

 皆さんは看護師と聞くと、どの様な仕事を思い浮かべますか?多くの人が病棟や、町のクリニックで働く看護師を思い浮かべると思います。でも実は、非常に少数派ではありますがオペ室に勤務する看護師もいて、オペ看、オペナースなんて呼ばれ方をしています。オペ室の看護師は人数も少ない為、あまりメジャーではありません。大学や専門学校で学ぶ事も殆どなく、調べたくても本やサイトに載っている情報は少ないので、オペ室に興味があったり、オペ室に入りたい!と思っている方は、情報の少なさに残念な思いをする事があるかと思います。ですので、その残念な思いを解消する為に、現役でオペ室に勤務している看護師としてオペ室看護師の情報について発信していきたいと思います。

 今回の記事では、乳房切除術について詳しくお話ししていきます。

1.乳房切除術とは

 乳房切除術とは乳癌の治療方法の1つです。手術以外の乳癌の治療方法としては、放射線療法や抗癌剤療法、ホルモン剤療法などがあり、癌の進行度に合わせて治療方法は選択されます。手術が選択されるのは主に乳房内腫瘍、腋窩リンパ節転移の場合です。

2.手術について

乳癌の患者さんは年々増加しており、それに伴い手術件数も増加しています。その為、専門医が担当する事も多い手術で、私が勤務する病院でも基本的には専門医が手術を担当しています。専門医がいない病院では消化器外科が担当したり、連携している病院から専門医を派遣している病院もあります。

①手術の変遷

乳癌の以前の術式としては、ハルステッド手術という乳房全摘+大胸筋切除+小胸筋切除+腋窩郭清が一般的でした。この手術では乳房全摘で乳房のふくらみが失われるだけでなく、大胸筋切除+小胸筋切除を行う事で肋骨が浮き出る、腋窩郭清でリンパ浮腫が生じ上肢がパンパンに腫れてしまうなど外観の変化が著しく、ボディーイメージの変容から生きる気力を失う患者さんも存在するほどでした。
 しかし、現在は手術以外の治療方法が発達した事で、エコーやマンモグラフィーによる早期発見に加えて、抗癌剤やホルモン剤を使用することによる癌の縮小化、センチネルリンパ節生検による腋窩郭清の省略が可能になった事で乳房部分切除+センチネルリンパ節生検が手術の主流となりました。

みにぶた
みにぶた

治療方法が増えて標準術式が変更された事で、ボディーイメージの混乱も抑えられる様になった!

②センチネルリンパ節とは

乳癌は乳房内に発症し、乳房周囲のリンパ節(特に腋窩リンパ節)を通って全身のリンパ節や臓器へと転移を起こす性質があります。センチネルリンパ節とは、乳房内の癌がリンパ節を通って全身へ転移を起こす際、最初に必ず通るリンパ節を示します。腋窩への入り口の様なリンパ節で、別名では見張りリンパ節とも呼ばれています。必ず癌が通ると言う性質から、センチネルリンパ節に転移がない場合はそれ以上先のリンパ節にも転移がないと判断され、腋窩リンパ郭清を省略する為に行う検査がセンチネルリンパ節生検です。

③センチネルリンパ節生検とは

センチネルリンパ節への癌の転移の有無を検査する方法を、センチネルリンパ節生検と言います。腋窩には多くのリンパ節があり、センチネルリンパ節を肉眼で特定する事は非常に困難な為、特定する手段として色素法、ラジオアイソトープ法、ICG蛍光法などが開発されています。これらは種類によっては、併用することが推奨されている方法もあります。

④腋窩リンパ節郭清を行うと

乳癌では最初に腋窩リンパ節に癌が転移するため、腋窩リンパ節の郭清が重要となります。しかし腋窩リンパ節を郭清すると、上肢のリンパの流れが遮断される事で運動障害や知覚障害、リンパ浮腫などの後遺症が生じます。リンパ浮腫が生じると、通常の腕の2倍にも腫れてしまい隠そうとしても長袖に腕が通らないほどの状態になる事もあり、患者さんにとっては大きな苦痛となります。
 以前の手術では、腋窩リンパ節の郭清はマストで行われており術後に病理検査に出していました。しかし、その方法では腋窩リンパ節に転移がなかった場合は、後遺症が生じる事を考えると患者さんにとって余計な苦痛を増やしてしまった事となります。そこで、余計な郭清を行わなくて済む様にとセンチネルリンパ節生検を行い、最小限の郭清で乳癌を切除する方法が主流となりました。しかしセンチネルリンパ節生検には、センチネルリンパ節以外のリンパ節への転移を見逃す危険性もあり、これは偽陰性と呼ばれています。術後の検査で癌の転移が認められた場合、再度リンパ節郭清手術を行うことになります。

みにぶた
みにぶた

センチネルリンパ節生検はメリットが大きいが、センチネルリンパ節以外のリンパ節への転移を見逃す危険性もある💦

3.手術の流れ

①乳房切除時の麻酔

乳房切除時の麻酔では、基本的には全身麻酔が選択されるかと思います。硬膜外麻酔も加えて手術を行った例も聞いた事がありますが、術後の創痛は内服薬でコントロール可能な事が多いため全身麻酔のみでの手術が基本となるかと思います。

②手術時の体位

乳房切除時の体位では、胸部の手術となりますので仰臥位が選択されるかと思います。また腋窩リンパ節の操作が行いやすい様に、患側の上肢を挙上したり、肩の下に枕を挿入するなどの工夫を行うと良いでしょう。

みにぶた
みにぶた

手術中の体位は基本は同じ様な体位をとりますが、執刀する先生の好みもありますので確認するのが良いかと思います。

③手術時間

 手術時間は、患者さんの体格やリンパ節の分かりやすさ等に影響されますが、片胸で1〜1時間30分、両胸で2〜3時間を予定しているかと思います。それに加えて、腋窩リンパ節郭清を行う場合は30分ほど追加となります。

④手術の手順

①センチネルリンパ節を摘出し、迅速病理検査を行う

②乳腺を切除する

〜転移なし〜
③洗浄後に閉創して手術終了

〜転移あり〜

③腋窩リンパ節郭清を行う

④洗浄後に閉創して手術終了

みにぶた
みにぶた

迅速病理検査は30〜40分ほどかかるので、結果が出るまでに乳腺を切除して手術時間短縮に努めています!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA