オペ室での看護処置、技術について

 皆さんは看護師と聞くと、どの様な仕事を思い浮かべますか?多くの人が病棟や、町のクリニックで働く看護師を思い浮かべると思います。でも実は、非常に少数派ではありますがオペ室に勤務する看護師もいて、オペ看なんて呼ばれ方をしています。オペ室の看護師は人数も少ない為、あまりメジャーではありません。大学や専門学校で学ぶ事も殆どなく、調べたくても本やサイトに載っている情報は少ないので、オペ室に興味があったり、オペ室に入りたい!と思っている方は、情報の少なさに残念な思いをする事があるかと思います。その残念な思いを解消する為に、現役でオペ室に勤務している看護師としてオペ室看護師の情報について発信していきたいと思います。

 今回の記事では、オペ室で良く行われている看護処置、技術について詳しくお話ししていきます。

オペ室での看護処置、技術とは

 オペ室では当たり前ですが、オペがメインとなるため病棟と異なり看護師が処置や技術を行う事は少ないです。看護師が行う一般的な処置、技術としては採血や食事介助、吸引、導尿、洗髪、清拭など非常に沢山ありますが病棟で行われる事が多く、オペ室では行わないこともあります。ただ、全く処置などを行わない訳ではなく、病棟よりもオペ室の方が頻繁に行う看護処置、技術もあります。新人さんの中には、オペ室では看護技術なんて必要ないだろうと思って油断はしている人はいませんか?実は私がそのような考え方をしており殆ど研修を真面目に受けておらず、いざ実践となった際に出来なかった苦い記憶があります。ですので、私の様にならないように特に練習しておく処置、技術を実施する際のポイントも交えて紹介していきたいと思います。

①膀胱留置カテーテル(持続的導尿)

 膀胱内にカテーテルを留置し、尿を排泄させる方法です。この技術は全身麻酔の手術では超高確率で行いますので、必ず習得しておきましょう。病棟では意識がある状態で行いますが、手術室では麻酔がかかり意識消失した状態での処置となりますので、難易度が下がるかと思います。手術件数や内容にもよりますが、毎日数件ある場合も多い為、比較的早く習得できる処置だと思います。ただ、慣れないうちはポイントを確認しながら行うと安全でかつ上達も早いかと思います。

<男性の場合>

 男性の場合、陰茎を上向きにした状態でゆっくり挿入します。ある程度挿入すると途中で抵抗があるので、そのタイミングで陰茎を寝かせて残りのカテーテルを挿入して下さい。前立腺肥大などが既往にある方は抵抗が強く入れにくい場合がありますが、無理に挿入すると尿道が損傷する可能性がある為、注意が必要です。

<女性の場合>

 女性は尿道口と膣が近いところにあり尿道口は見えにくい事があるので誤って膣に留置しないように注意しましょう。位置を正しく理解してもらうことが重要です。ただ、高齢の患者さんでは教科書通りにいかないことも多く戸惑ってしまう場面もあるかと思います。

 膀胱にカテーテルが挿入されているかは尿の流出でしっかり確認しましょう。直前にトイレに行った患者さんでは流出がない場合がありますが、膀胱を圧迫すると流出するかと思いますので落ち着いて対応して下さい。

みにぶた
みにぶた

筋弛緩がかかると便が出てくる場合がありますが、その時は不潔になってしまうので拭き取ってからカテーテルを挿入して下さい。

 

② 寝衣交換

 手術が終了しベッドに移動する際に術衣を着ます。もちろん患者さんは動ける状態ではない為、看護師が着せることになります。術後で不安定な状態なので、出来る限り素早く行える様にトレーニングしておきましょう。術後は基本的に輸液をしている状態だと思いますので、輸液をしている状態の患者さんを想定して練習しておくといざという時にスムーズに行えるかと思います。また、膀胱留置バルーンやドレーンが挿入されている場合もありますので、抜けないように気を付けておいて下さい。

 術後はシバリングが起こる可能性もある為、速やかに術衣を着せて体温が逃げないように努めて下さい。シバリングが起こると酸素消費量の増加や疼痛の増強などにも繋がるため注意が必要です

みにぶた
みにぶた

寝衣交換なんて簡単だ!と思っていませんか?動ける患者さんの場合は簡単ですが、意識が朦朧としており輸液などが繋がっている患者さんは気を付けるポイントが多く意外と難しいですよ。

③吸引

 挿管前や抜管直後に頻繁に行う処置です。ただ、私が努めている病院では麻酔科医が行う事が殆どで看護師が行う機会は少ないです。しかし、手術が多く麻酔科医がいないタイミングや局所麻酔での手術の際は看護師が吸引を行いますので手技の会得は必要です。

 吸引には種類があり、鼻腔からカテーテルを挿入する鼻腔吸引と口腔からカテーテルを挿入する口腔内吸引があります。鼻腔吸引の際は、カテーテル挿入時に鼻腔内を傷つけないよう注意し、口腔内吸引の際は、口腔内を傷つけない、また嘔吐反射を誘発しないよう注意して下さい。また、患者さんは意識が朦朧としている状態で無意識に噛んでしまう人もいるため自分自身の手を噛まれないように気を付ける事と、吸引チューブを噛んだ際には歯の欠損にも注意して下さい。

みにぶた
みにぶた

私は手を噛まれた経験はないですが、同期が噛まれた際にクッキリと歯型が残っており傷になったため、1週間ほど機械出しから外されていました。

④ルート確保

 病棟では日常的な処置ですが、手術室ではルート確保を行う機会は少ないかもしれません。私が勤務している病院では、ルート確保は基本的に病棟で行ってから手術室へ入室する為、ルート確保を出来る機会は殆どありません。病棟でルート確保が出来なかった場合や、血管外漏出があった場合などは手術室でルートを取り直す事がありますが、行う機会が少ないので毎回とても緊張します。手術室だけでは経験出来る機会が限られているので、もし病棟へ応援などに行く機会があればその時に経験させて貰うのが良いかと思います。私は手術が少ない日などは病棟へ行きルート確保の練習をさせて貰っていました。病棟応援などがない病院で勤務されている方は、先輩や同期などの腕を借りて練習するのが良いでしょう。最近ではYouTubeなどで分かりやすく解説してくれている動画もあるので、上達のために是非見て頂きポイントを押さえてから実践して貰えればと思います。

みにぶた
みにぶた

勝手に行くと自部署にも他部署にも迷惑がかかってしまいますので、病棟応援へ行く際には必ず自部署の責任者の方に確認してから行ってください。

⑤ミキシング

 ミキシングとは薬剤を混合することで、手術室では主に抗生剤投与の際に行います。投与するのは麻酔科医である事が多いですが、局所麻酔での手術室では医師の指示のもと看護師が投与を行いますので、しっかりと手順を覚えておきましょう。

 ミキシングを行う際は、不潔にならない様に気を付けるようにしましょう。また、ガラス製アンプルの開栓時、注射針を使用する際などは自分自身の手を切らないように十分に気をつけて下さい。アンプルにはポイントマークが書かれていると思いますので、マークの部分を反対側に軽く折るようにして開けるようにしましょう。折り曲げるようにカットすると突起が出来て手を切りやすくなるので注意して下さい。小さいアンプルだから大丈夫だと思いがちですが、ガラスですので思っているよりも深く切ってしまい痛い思いをするかと思います。看護師はアルコール消毒を頻繁に行いますし、手術室看護師は手に傷があると機械出しを外される事がありますので気を付けておきましょう。

 また、ミキシングを行う際は6つのRを確認してから実施して下さい。忘れないようにメモに書いておくか、メモをラミネートして持っておくと非常に便利ですよ。私は6つのRに日にちの項目を書き足して確認するようにしていました。

<6つのR>
・正しい患者(Right Patient)
・正しい薬剤名(Right Drug)
・正しい時間(Right Time)
・正しい投与経路(Right Route)
・正しい量(Right Dose)
・正しい目的(Right Purpose)

みにぶた
みにぶた

特に大きなアンプルは突起が出来やすく、手を切る確率が上がりますので気を付けておきましょう。

⑥まとめ

代表的な処置や技術のみを紹介させて頂きましたがいかがだったでしょうか?他にもありますが、1年目でよく行う処置を紹介させて頂きました。病院によっては看護技術を研修で学んでから実施するところも多いと思いますので、関係ないからと思わずにしっかりと学び実践に活かせるようにして下さい。最近ではYouTubeなどでも看護技術のポイントを紹介してくれているチャンネルもありますので是非見ていただけたらと思います。

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