こんにちは。手術室看護師みにぶたです。
手術室勤務が初めての皆さん。手術時の手洗いとは何か分かりますか?
普通に手を洗うだけ‥だと思っている方はいませんか?
実は意外と奥が深く慣れるまでは、手を洗うだけなのに時間がかかったり、場合によってはやり直さなければならない時もあるんです。
今回の記事では、意外と難しい手術時の手洗いについて詳しくお話ししていきます。
目次
①手術時の手洗いとは
手術時の手洗いとは、器械出し看護師や執刀医など清潔操作を行う人がガウンを着る前に行う、手指消毒のことです。
手術室で勤務していると「手を洗って来て」と言われることがあります。その時はただ手を洗ってきてほしい訳ではなく、器械出し看護師としての準備をしてほしいという事ですので、勘違いしないようにしてください。
私は急遽器械出しが変更された際に「手を洗って来て」と言われ、よく分からずに普通に手を洗って戻り失笑された思い出があります。
②目的
手術時手洗いの目的は、手指や前腕などの皮膚表面に付着している通過細菌の除去および、皮膚常在菌を減少させることです。
常在菌は感染源にはなりにくいのですが、易感染状態である手術時は感染を引き起こす場合があります。なので、手術時の手洗いでは皮膚常在菌も減少させる厳重な手洗いが必要となります。
余談ですが、よく聞く乳酸菌やビフィズス菌なども常在菌の一種です。
③方法
手術時手洗いは大きく分けて2つあり、「ラビング法」と「スクラブ法」に分かれます。
【ラビング法】
ラビング法とは別名、ウォーターレス法とも呼ばれています。
下記に大まかな流れを書いていきます。
①流水で手を洗う。
②石鹸で手指から肘関節までを洗う。
③未滅菌のペーパータオルで手の水分を拭き取る。
④速乾性アルコール製剤を手指から肘関節まで擦り込む。
昔は手術時の手洗いに使用される水も滅菌された水だったのですが、水道水でも十分な滅菌効果を得られることから医療法施行規制が改正され、現在では水道水での手洗いが主流となっています。
アルコール製剤は擦り込むことで消毒効果が発揮されますので、手をブラブラさせたり、自然に乾燥させないようにしてください。
手に水分が残っている状態だと滅菌手袋が装着しにくい為、手を動かして乾燥させている人をよく見ます。それでは、十分な効果が発揮されませんので、必ずしっかりと擦り込みを行なってから手袋を装着するようにしてください。
先輩に手を動かして乾かしている人がいるかもしれませんが、真似はしないでくださいね。
【スクラブ法】
スクラブ法とは別名、洗浄法とも呼ばれています。また、スクラブ法での手洗い後にアルコール製剤を擦り込む方法はツーステージ法と呼ばれています。
スクラブ法とツーステージ法は混同され易いため、違いを覚えておきましょう。
下記に大まかな流れを書いていきます。
(スクラブ法)
① 流水で手を洗う。
②手洗い用の消毒薬で手指から肘関節までを洗う。
③滅菌のペーパータオルで手の水分を拭き取る。
(ツーステージ法)
④速乾性アルコール製剤を手指から肘関節まで擦り込む。
ラビング法、スクラブ法共に大まかな流れのみを書いていますので、細かい流れは各病院の規定に沿って覚えて頂けたらと思います。
二種類あるとどちらを選ぶべきか迷ってしまいますが、ラビング法とスクラブ法の感染の発生率を比較した結果、差がないことが報告されています。
また、消毒効果を比較した報告では、ラビング法のほうが優れていたとする報告と有意差がなかったとする報告とがあり、その評価は定まっていません。
私は肌が弱く、連続でアルコール製剤を大量に使用するとかぶれてしまうので、アルコール製剤の使用量が少ないスクラブ法を好んで行なっています。
ラビング法を主に行なっており、手荒に悩んでいる方はスクラブ法に切り替えると改善する場合がありますよ。
④まとめ
今回の記事では、手術時の手洗いについて詳しくお話しさせて頂きましたしたが、いかがだったでしょうか?
手術時手洗いは日常的に行う手洗いと似ていますが、目的が異なるため必ず手順を覚えて実施出来るようにしましょう。
1年目さんは主に器械出し業務をメインで行なっていくかと思いますので、焦らなくてもすぐに覚えることが出来るかと思います。
この記事をキッカケに、手術時手洗いへの理解が深まると嬉しいです。
以上、最後まで記事を読んでいただきありがとうございました!