皆さんは看護師と聞くと、どの様な仕事を思い浮かべますか?多くの人が病棟や、町のクリニックで働く看護師を思い浮かべると思います。でも実は、非常に少数派ではありますがオペ室に勤務する看護師もいて、オペ看なんて呼ばれ方をしています。オペ室の看護師は人数も少ない為、あまりメジャーではありません。大学や専門学校で学ぶ事も殆どなく、調べたくても本やサイトに載っている情報は少ないので、オペ室に興味があったり、オペ室に入りたい!と思っている方は、情報の少なさに残念な思いをする事があるかと思います。その残念な思いを解消する為に、現役でオペ室に勤務している看護師としてオペ室看護師の情報について発信していきたいと思います。
今回の記事では、夜勤の代わりにある待機について詳しくお話ししていきます。
①待機とは
待機とは、院内の患者さんの急変時や、救急搬送、時間外での救急外来など通常の勤務時間外でも連絡があればいつでも出勤できる状態にしておく事で、オンコールとも呼ばれています。
基本的に夜勤のない手術室に多く採用されている勤務体制で2人1組で組みます。病院によっては、夜勤1人+待機1人という病院もあるようです。
私の勤務している病院の待機では、月曜〜土曜までに適応され日勤後の時間外に残った手術や翌朝の日勤までの時間に来る緊急手術に対応する平日の待機と、日曜日や祝日などの公休日の日勤時間〜次の日の日勤時間までに来る緊急手術に対応する休日の待機があります。
公休日に呼ばれても振替休日などはなく、夜中に呼ばれて朝方まで手術していても次の日が仕事の場合は勤務となり、休みたければ有給で休むシステムだったので私はすぐに有給がなくなりました。もし、同じようなシステムの病院に勤めている方は有給がなくなってしまうと、寝る時間もなく働くか、欠勤として休むしかなくなるので、有給は出来るだけ残しておく方が良いかと思います。欠勤をしてしまうと月給が引かれるだけでなく、ボーナスにも響いていたので働く意味とは‥と考えてしまう事があります。
公休の土日が待機で計5回の緊急手術が来た事があり、疲労が蓄積して熱が出て寝込んだ事があります。
②具体的には何をしているか
具体的な内容としては、平日の待機では日勤後の時間外に残った手術の機械出し、外回りは基本で、使用機械の洗浄や手術室の清掃も行います。清掃を業者に委託していたり、中材に機械の洗浄をお願いしている病院でも日勤外では手術室看護師がどちらもやる事があります。日勤帯では、メンバーが多いため手術後の掃除や洗浄に時間が掛かるイメージがないかと思いますが、待機では2人で行わなければならないので想像以上に時間が掛かります。機械出し看護師が機械洗浄、外回り看護師が手術記録や申し送り等を終えた後に、手術室の清掃に取り掛かるのが大まかな流れかと思います。一般的な外科の手術では機械の数も限られている為、洗浄も比較的楽ですが機械を多く出した手術では、洗浄だけでも1時間以上かかる場合もあります。
休日の待機では、病院から連絡があり予め機械出しと外回りの役割が決まっていると思いますので、病院に到着し次第その役割にそって機械準備や情報収集、部屋の準備を行います。緊急手術では一刻を争う状態も考えられる為、ゆっくり時間をかけて準備をしている余裕はありません。看護師側から考えると病院に到着してからが始まりに感じますが、患者さん側から考えると看護師が来た時点で数時間が経っている事もあり、苦痛な状態であるという事を頭に入れておいて下さい。なので、機械集めや準備などは普段から意識して短時間でこなせるようにすると良いでしょう。手術後は平日の待機と同様で清掃までして帰宅し、また呼ばれてもすぐに出勤出来るように控えています。
待機は基本的に30分以内に来れる場所にいるのが暗黙の了解と言われていますが、病院によっては制限がないところもあります。
③待機に入る時期
緊急手術では予めどの様な状態の患者さんが来るか予測出来ない為、一通りの手術をこなせる様になってから待機に入るのが一般的かと思います。なので、2年目以降から待機が始まる病院が多いのではないでしょうか。
ただ、極端にメンバーが少ない場合には1年目から待機が始まる病院もある様です。
もし、自分が1度も経験した事がない手術を担当する場合はどうなるのでしょうか?初めは必ず先輩と組むため先輩に教えてもらいながらやるか、どうしても無理であれば他のメンバーに連絡して来てもらうかの2択になるでしょう。待機に入っている時点で一般的な手術には対応できる能力があると判断されていると思いますが、私が勤めている病院では特例として心臓血管外科の緊急手術が入った場合、担当した事がなければ交代となる可能性があるそうです。どうしても交代が出来ない場合は、ペアの先輩と機械出しと外回りの役割を入れ替えて対応することもあります。
緊急手術ではゆっくりと待てる時間がない事が多いので、基本的には先輩に指導を頂きながら手術に挑む事になると思います。
④回数
回数は手術室に所属している看護師の人数で決まります。人数が多ければ回数も少なくなりますが、待機の体制をとっている病院では看護師の所属人数が少ない傾向にあると思うので8〜10回程入る可能性もあります。
待機の日にちは固定ではなくランダムで組まれますので、用事がある日は予め伝えておくと良いでしょう。シフトが決まった後は基本的に変更は出来ず、どうしても変更したい場合は他の看護師と交渉して変わる事になるでしょう。ただ頻繁に変更すると良い顔はされないと思いますので、あらかじめ伝えておきましょう。
完全に体感のお話ですが子供がいない又は結婚していない人が休日の待機に多く入っていた気がします‥。
⑤まとめ
待機について詳しく説明させて頂きましたがいかがだったでしょうか?待機は予想できないため、精神的にも肉体的にも負担に感じるかと思います。私が待機に入り始めの頃は、いつ呼ばれるか分からないプレッシャーから常に緊張状態で、夜も寝る事が出来ずに非常に負担を感じていました。ただ、慣れてくると自分が待機の日も忘れるぐらいに無意識になってくるとは思いますので、安心して頂けたらと思います。また、待機に入る事でお給料も増えますのでメリットもあります。緊急手術に呼ばれると言う事は手術室看護師として認められているという証にもなりますので、無理のない範囲で頑張って下さい。