こんにちは。手術室看護師みにぶたです。
新人さんが配属され先輩となった、手術室勤務の看護師さん。何を聞かれるか分からない後輩からの質問に、毎日ビクビクしていませんか?
もう日常業務には慣れてきた頃だと思いますので、知識や技術を振り返り自分の成長に繋げるだけでなく、後輩に指導が出来るようになるとより良いですね。
今回の記事では、先輩となり後輩からの質問に困っている皆様にオススメする本について、詳しくお話ししていきます。
①内容紹介
この本では、6の章を「術前編」、「術中編」、「術後編」に分けて、分けられた場面毎に後輩からよく質問される内容について、詳しく説明されています。
①術前編
術前編は1章のみで、術前の情報収集〜手術室の準備までの、よく聞かれる質問について書かれています。
具体的な質問としては、「術前の情報収集ではどのように情報を集めるのですか?それをどのようにアセスメントするのですか?」、「不安な患者さんに対してどのような声掛けをしてよいかわかりません。どのような声掛けをするとよいですか?」、「吸入麻酔薬と静脈麻酔薬には何があり、どのように使い分けるのですか?」「脊椎くも膜下麻酔には等比重と高比重がありますが、その使い分けはどのようにおこなわれているのですか?」などがあります。
どれも1年目さんからよく聞かれる質問なので、最初に疑問に思うポイントは誰でも一緒なんだなと思いました。
術前の情報収集については、私のブログでも詳しく紹介させて頂いてますので、そちらも見て頂ければ幸いです。
オペ室の術前訪問についてまた、特に脊椎くも膜下麻酔の等比重と高比重については、本当に何回も聞かれますので、復習しておく事をオススメします。
私は2年目の頃に1年目さんに質問されて、分かりやすく伝えることが出来ず、余計に混乱させてしまった事があります。その時にもっと自分の理解を深めておけば、分かりやすく簡潔に説明出来たのではないかと後悔している出来事です。
1年目さんは話しかけやすい2年目に質問する事が多いので、まだ2年目だからと油断せず自己学習しておきましょう。
②術中編
術中編は2章の麻酔の介助、3章の体温管理、4章の輸液、輸血に分かれており、場面毎によく聞かれる質問について書かれています。
【麻酔の介助】
麻酔の介助に対しての質問としては具体的に、「挿管前に患者さんに酸素をしばらく吸入させているのはなぜですか?また喉頭鏡を渡したときに、喉を押すように指示があることがありますが、どういう目的ですか?」「麻酔導入時にどのような準備をしておくべきですか?」などがあります。
1年目さんは、手術につき始めるまでに挿管、抜管介助を行うと思います。その時によく聞かれる質問について書かれていました。
挿管介助の際に麻酔科医に「喉を押して」と言われたことがあると思いますが、何故押しているのかを理解していますか?
私はお恥ずかしい話ですが、言われたからとなんとなくで喉を押していた時期がありました。目的が分からない状態だと、押すべき正確な位置も分からないため、麻酔科医には何度も「場所が違う」と注意され呆れられた過去があります。
何故押しているかに対して「見えやすくなるから」と答えている方はいませんか?
それだけでは、根拠としては不足している部分もあるため再確認しておきましょう。
「喉を押して」は結構な頻度で言われますので、スムーズな介助が出来るようにしっかり覚えておいてください。
【体温管理】
体温管理に対しての質問としては具体的に、「手術開始後、患者さんの腕を触ってみたら温かいので加温しなくてよいですか?」「体温管理のために術前訪問で気をつけることや何かできることはありますか?」「体温管理方法がルーティンのようになってしまいます。ポイントは何ですか?」などがあります。
体温管理のルーティン化については、実は私も悩んでいたポイントで、「今更その質問するの?」と思われるのが怖くて、相談し難い内容でした。
この本では主に、後輩からよく質問される内容について書かれていますが、それだけではなく自分の疑問に対しても答えてくれる本だと私は感じました。
また章の最後には「私のコミュ力しくじり話」として、指導する側のしくじり経験談が書かれています。理解できない相手が悪いという考えや自己学習は当たり前という価値観の押し付けなどについて書かれており、私も心当たりがある部分があり自分の指導の在り方について考え直す良い機会となりました。
育たない理由は自分の指導の影響かもしれません。相手が悪いと決めつけるのではなく、自分を振り返ってみると改善されるかも知れませんね。
【輸液、輸血】
輸液、輸血に対しての質問としては具体的に、「術中、輸液量が少ないってどのように判断しているのですか?」「輸液が多いとどうしてダメなのですか?脱水よりいいのでは?」「術中に大量出血した場合、何からしたらいいですか?」などがあります。
輸液や輸血って特に難しいと感じるのは私だけでしょうか?
麻酔科医が基本的には輸液量を調節するため、輸液量について意識したことがない方もいらっしゃるのではないかと思います。実は私も質問されるまで、意識したこともありませんでした。1年目さんの質問の着眼点は意外と鋭く、答えられない場合もあるかと思います。その時には、ぜひこの本を活用し備えて頼れる先輩となって頂けると嬉しいです。
ただ、この本では輸液や輸血の細かい効果や副作用については書かれていませんので、詳しく勉強する際には違う参考書などを活用する方が良いでしょう。
質問内容をみて振り返って考えると、質問に対して適当に答えていることも多く、ダメな先輩だなと反省しています。
③術後編
術後編は5章の情報の提供、術後訪問、6章の術後疼痛管理に分かれており、場面毎によく聞かれる質問について書かれています。
【情報の提供、術後訪問】
情報の提供、術後訪問に対しての質問としては具体的に、「病棟への申し送りのときに、病棟看護師がメモするのってそこなの?って思うんですけど、要点を押さえた申し送りってどんな内容ですか?」「術後訪問って、いつごろ行けばいいんですか?行くタイミングにいつも迷います」などがあります。
申し送りの際に、メモをとらない病棟看護師さんも時折います。メモをとらないのに質問ばかりされると、「ちゃんと申し送り出来ていないのかな?」と1年目さんは心配になるかと思います。
実は、手術室看護師が重要だと考える内容と、病棟看護師が必要としている内容が異なっており、適切に申し送り出来ていない場合があります。
慣れない頃は伝える内容を簡潔にまとめることが出来ずに、入室から退室までの流れを全て説明しようとしがちになります。もし、1年目さんが全てを申し送っている場合は、再度要点を確認して適切な申し送りが出来るように導いてあげてください。
術後訪問のタイミングや内容については、私のブログでも詳しく紹介させて頂いてますので、そちらも見て頂ければ幸いです。
オペ室の術後訪問について【術後疼痛管理】
術後疼痛管理に対しての質問としては具体的に、「術後疼痛管理はどのような痛みですか?どうして適切な管理が必要なのですか?」「術後疼痛管理にはどのような方法がありますか?それぞれの方法にはどんな特徴がありますか?」などがあります。
術後の疼痛管理は病棟で行われるため、手術室看護師は気にしなくて良いと思っている方はいませんか?
私は1年目さんに「オペ室では全身麻酔で眠っているから、疼痛管理について覚える必要ってないですよね?」と聞かれたことがあります。
疼痛管理には、硬膜外麻酔やIV-PCA、神経ブロックなど術中から行われる方法もあり必ず覚える必要がありますので、もし上記のような考えの1年目さんがいたら疼痛管理を行うのは術後だけではないことを説明してくださいね。
また、体感にはなりますが硬膜外麻酔とIV-PCAの区別が出来ずに混同して覚えている1年目さんをよく見かけます。申し送りの際などに誤って伝えている場合もありますので、理解出来ているか確認してみてください。
申し送り後にカルテを見ると、硬膜外麻酔をIV-PCA、またはIV-PCAを硬膜外麻酔と誤って記載されている事があります。
②オススメポイント
・実際によく聞かれる質問が多い。
・回答はサクッと回答とじっくり解説に分かれており、答え方も参考になる。
・章の最後には「しくじり話」があり、自分の指導についての振り返りにもなる。
・「先輩風をほどよく吹かせる豆知識」や「実はまだあやふや‥」といった内容も書かれており知識の幅が広がる。
③こんな人にオススメ
・後輩からよく質問をされるが、答えに困っている方。
・プリセプターとなり後輩指導を任されている方。
・改めて基礎から学び直したいと考えている方。
④目次
⑤本の詳細
出版社 | メディカ出版 |
発売日 | 2023/2/20 |
言語 | 日本語 |
単行本(ソフトカバー) | 96ページ |
寸法 | 0.4 x 18.2 x 25.7 c |
値段 | 1980円(税込) |
以上、最後まで記事を読んでいただきありがとうございました!